切削速度とは

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例えば、太さ20mmの材料を回転数800RPMで、10mmの太さに横削りする場合は材料の外径20mmを基準として、 その切削速度は(3.14×20÷1000)×800≒50M/分とします。

また、一定回転で太さ20mmの材料を突切る場合には、外径から中心に向かって突っ切っていくと、刃先に当たる材料直径がだんだんと小さくなって行き、 それにつれて切削速度が下がっていって、中心付近での切削速度は限りなくゼロに近づきます。

ですので、太いステンレス材料等を突っ切る時などには、突切りの刃先が中心に行くに従い主軸の回転数を上げる事が出来ると、能率の良い加工が出来ます。

ここで、直径20mmの材料を突切りバイトで突っ切る時に、刃先の切削速度を50m/分に保つ為には、 突切りバイトの刃先に当たる材料直径により主軸の回転数を下記の様に変えます。

突切りバイトの 
刃先に当たる材料直径 
主軸の回転数 
RPM 
切削速度 
m/分 
20 mm  800  50 
15 mm  1,060  50 
10 mm  1,600  50 
6 mm  2,650  50 
4 mm  4,000  50 
2 mm  8,000  50 

主軸の回転数を変える事が出来ない場合には、主軸回転数を2000RPMとすると下記の様になります。 直径20mmの材料を突切りバイトで突っ切る時で考えます。

突切りバイトの 
刃先に当たる材料直径 
主軸の回転数 
RPM 
切削速度 
m/分 
20 mm  2,000  125 
15 mm  2,000  94 
10 mm  2,000  63 
6 mm  2,000  38 
4 mm  2,000  25 
2 mm  2,000  13 

参考に、材料外径 3mmの主軸回転別の切削速度を一覧にします。

材料外径  主軸の回転数 
RPM 
切削速度 
m/分 
3 mm  6,000  57 
8,000  75 
10,000  94 
12,000  113 

C3604:黄銅(真鍮)を、切削工具の材質を超硬工具を使う場合には、その切削速度は120 m/分でも何の問題もありません。

ただし、主軸の回転が10,000RPM辺りになると、材料の振れや振動に問題が発生する可能性が大きくなります。 また、オートバーを使用する時のフィンガーチャックにも問題があります。

 

切削送りとは

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"切削送り"とは、『切削加工する時の送り速度』ですが、工作機械の加工形態により複数の考え方(単位)があります。

下記の1は、主軸1回転(revolution)当たりの送り量(mm)です。単位は「mm/r」です。

下記の2は、1分間(minute)当たりの送り量(mm)です。単位は「mm/分」です。

  1. 自動旋盤(普通旋盤を含む)での一般的なバイト加工では、切削送りは『主軸1回転当たりの送り量』です。単位はmm/rです。
    • ネジ切りバイトで、ネジ加工を行う時を考えると判り易いです。
    • 例えば、M2 × p0.4のネジは、ピッチが 0.4mmです。
    • このピッチ 0.4mmのネジをネジ切りバイト(刃物)で製作(チェーシング加工)するのには、主軸が1回転する間にネジ切りバイトを横方向に 0.4mm送ります。
      ですので、ピッチ 0.4mmのネジ切り加工をする時の切削送りは、ネジピッチ(0.4mm)の 0.4mm/rとなります。
    • 丸棒として削りだす横切削をする場合には、この横切削送りが被削材の材質によって 0.02mm/rや 0.03mm/rとなるのです。
  2. ミーリング加工での、複数刃の正面フライスカッターでの加工では、刃1枚当たりの送り量(mm/刃)を重視します。
    • 工作物の送り速度の単位は、mm/分です。
    • これには、正面フライスカッターの回転数(RPM)と刃数と、工作物の送り速度(mm/分)が関係します。
    • φ100mmの正面フライスカッター(刃数10枚)を、500RPMで回転してフライス加工をする時、 工作物の送り速度を200mm/分とした時の刃1枚当たりの送り量は、200 ÷ (10 × 500)=0.04mm/刃です。

 

切削部品の作り方

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丸物切削部品・パーツの事を、我々の業界では【挽き物(ひきもの)】と呼びます。
その【部品(挽き物)】をカム式自動旋盤で製作する時の、加工工程設計(カム設計)をご説明します。

サンプル部品

まずは、下記のような部品を、製作するとします。


部品を、製作する時の加工工程設計(カム設計)を行うには、この部品を作る数量を勘案することが重要です

それは、この部品の1個の生産時間とセット替え時間が加工工程設計(カム設計)に大きく関わってくるのです。 正確には、工程設計をしないと生産時間の割り出しは出来ないのですが、この部品の1個の生産時間は長年の経験で、 2秒前後でしょう。

2秒で部品1個ができるとすると、1時間では1,800個できます。1日の自動旋盤の稼働時間を20時間とすると、1日では1,800 × 20=36,000個できます。

この計算は単純化しています。
実際には、部品の精度にもよりますが寸法調整の時間、切り粉掃除や給油の時間、材料交換等の時間が掛かりますが、それらを全部足して4時間とし、稼働率を100%としています。

  1. 数量が少ない(~10,000個)場合には、セット替えに時間の掛かるカム式自動旋盤では、1個の生産時間を少なくするメリットが余り出ません。
    1個の生産時間が多少長くても、セット替え時間の少ないNC自動旋盤で作った方がメリットがあるでしょう。
  2. 数量が中程度(10,000個~100,000個)の場合には、1個の生産時間を少なくするよりも、品質の安定とセット替えを簡単にする製作方法を取ります。
  3. 数量が大程度(100,000個~800,000個)の場合には、品質の安定度と1個の生産時間を少なくする事を考え、セット替え時間の短縮は余り考えません。
  4. 数量が極大(800,000個~)の場合には、実際に製作しながら自動旋盤の動きを観察し、0.01秒単位での時間短縮を試行します。


工程設計をする時に重要な概念として、「切削速度」と「切削送り」があります。我々の専門用語ですが、 詳しい説明は「切削速度とは」、 「 切削送りとは」、をご覧下さい。

今回は、この部品・パーツを50,000個を作るとします。

つまり上記の2. 数量が中程度(10,000個~100,000個)から、「1個の生産時間を少なくするよりも、品質の安定とセット替えを簡単にする方法」を選びます。

主軸の回転数は、6,000RPMとします。
この時の切削速度は、2.5 × 3.14(円周率) × 6000 ÷ 1000=47.1m/分です。
6,000RPM辺りの主軸回転が、品質の安定には安心できます。(ここの値は、4,000RPM ~8,000RPM 位の範囲内で設計者・作業者の自由裁量部分です)

この部品・パーツを切削する(削る)ところは、下記の三箇所です。

  1. φ1.3 × 長さ1.5mm の横削り加工。
    φ2.5 からφ1.3 に削りだすので、切り込み量は(φ2.5 - φ1.3) ÷ 2 = 0.6mmとなります。横削り長さは、1.5mmです。
    ここの切削送りを、0.04mm/r とします。(ここの値は、0.01mm/r ~0.10mm/r 位の範囲内で設計者・作業者の自由裁量部分です)
  2. φ2.5 の突切り工程。
    ここの切削送りを、0.02mm/r とします。(ここの値は、0.007mm/r ~0.04mm/r 位の範囲内で設計者・作業者の自由裁量部分です)
  3. 突切り後の、ダボ落ち工程。
    突切りバイトの幅を1.0mmとし、その刃先角度を30度とします。ここの切削送りを、0.05mm/r とします。(ここの値は、0.03mm/r ~0.06mm/r 位の範囲内で設計者・作業者の自由裁量部分です)

上記切削工程に必要な時間を計算するために、各工程に必要な主軸の回転数を計算します。

  1. 1.5mm ÷ 0.04mm/r = 37.5回転
  2. (2.5 ÷ 2 + 0.1)mm ÷ 0.02mm/r = 67.5回転   (+0.1mmは外径の安全分です)
  3. (1.0 × tan30 + 0.05)mm ÷ 0.05mm/r ≒ 13回転  (tan30=0.57735・・・)

切削工程に必要な主軸の回転数=(37.5 + 67.5 + 13)回転 = 118回転です。 6,000RPMで回る主軸は1秒間で100回転しますので、118回転回るのに必要な時間は1.18秒です。 この1.18秒が、この部品・パーツを製作する時に切り粉の出ている時間で、これを生産時間と言います。

これに切り粉の出ていない下記の時間(非生産時間)を加えます。

切り粉の出ていない非生産時間は(0.5 + 0.15 + 0.2 + 0.1)= 0.95秒間です。

生産時間(1.18秒)と非生産時間(0.95秒)を加えると 2.13秒間となります。

予想の2.0秒よりも、0.13秒間長くなりました。

 

切削で丸物部品を作る

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小さいイモネジの専門メーカーである弊社のP-8型 マイコン制御のカム式自動旋盤では、下記のような部品製造が得意です。


こんな形状の部品は、弊社では製造できません。
(主軸の回転を止めないと加工できない形状です)


一本の材料から部品を加工するとき、材料一本から何個の部品が加工出来るかを説明します。

2.5m(2,500mm)の長さの材料を使って、全長が3mmの部品を加工する時を説明します。 1m(メートル)の長さをmm(ミリメートル)の単位に直すと、1m=1,000mmとなります。 2.5m(2,500mm)の材料長さを全部は使えないで、残材としての端材が残ります。
弊社ではこの残材の長さを、200mmとして計算します。

部品を長い材料から切り落とす時、包丁のような刃物で切り落とすのではなく、言うなればノコギリの様な幅(厚み)を持った突切りバイトで切り落とします。 この突切りバイトの幅(厚み)を1mmとしますと、部品を1個作る毎に、この1mmも材料から使われます。

その為に、全長が3mmの部品を1個作るには、 材料は(3mm+1mm=)4mm消耗します。

材料から加工される部品の数量は(材料長-残材長)÷(部品全長+突切り幅)の計算をします。

2.5m(2,500mm)の材料から作る事ができる全長が3mmの部品の数量は、 具体的な数値を当てはめると(2500-200)÷(3+1)=2300÷4=575個となります。